第12回「紋別わくわく科学教室」参加報告

須田 力(雪氷ネットワーク)

 夏休み前や期間中は、サイエンスパークなどの科学祭典で児童生徒の探求心を高めるイベントが各地域で開催されております。雪氷ネットワークも積雪寒冷地の子どもたちへ雪氷科学への関心を高め自然に親しむためのイベントとして、札幌市内では「遊雪広場in北大2018」(2018年)、「健康・スポーツ科学館in 北大遠友学舎」(2019年)、「雪氷の世界へのおさそい」(2024年)を開催してきました。
 一方、わたくしたちは科学館や大学などの研究機関がなく科学的刺激に恵まれない地域の子どもたちのために「移動健康・スポーツ科学館」(士別市で毎年)、「移動スポーツ科学館」(佐呂間町2017年)など出前方式での啓発活動も実施しております。
 昨年は、紋別市の「道立オホーツク流氷科学センター」で開催される「紋別わくわく科学教室」に同センターの前所長であった高橋修平氏に勧められ出展しました。子どもたちを科学の不思議さと面白さに引き込むために頑張っている地域の方々の熱意に圧倒され今年も再び出展する機会をいただいたこのイベントへの参加体験を報告します。

「運動中の酸素せっしゅ量を電卓で表示」
 今回の出展は、踏み台の昇降の動作を繰り返すごとに下記のアメリカスポーツ医学会の計算式による運動中の酸素せっしゅ量の推定値が水平方向の値、垂直方向の値が動作ごとに2台の改造電卓に表示されるという仕掛けは、体育の実技と数学の一次関数の結合した、恐らく私たちが最初に紹介した学習教材だと思います。

図1 踏み台昇降運動時の水平成分の移動と垂直成分の移動に安静分
  を加えて酸素摂取量を推定するアメリカスポーツ医学会の計算式

写真1 100円ショップで購入した電卓の裏面の基板の「=」キーの2点にリード線を半田づけし入力ジャックをつけると拡張機能をつけた。下部のアルミテープを貼ったフットスイッチを片足で踏むたびに2個の電卓の「=」キーが押された動作で電卓に表示された値がカウントアップするしくみ。

写真2 第12回紋別わくわく科学教室で、「運動中の酸素せっしゅ量を電卓で表示」の演題で出展した筆者(写真右)。写真提供は、高橋修平氏。

 今年の「紋別わくわく科学教室」は、7月20日(日)、午前10時から午後3時まで、紋別市元紋別にある「道立オホーツク流氷科学センター」で開催されました。1,100名を越す参加者の圧倒的多数が親子連れで子どもの年齢層は幼児、小学生が中心であったことから「運動中の酸素せっしゅ量を電卓で表示」というブースで足を止めてくれる人は、珍しさに目を留めた大人の方と算数好きの子、好奇心の強い子などで行列のできるブースではなかったのですが、多くの方々と楽しいおしゃべりを楽しむ機会に恵まれました。
 100円ショップの電卓でもちょっと細工を加えれば、キーを押す代わりに足踏みやセンサを使ったスイッチなどの入力をつけて簡単な計測などに利用できます。スマホでは残念ながらこのような楽しみは不可能です。
 この稿の説明だけで理解できないかたは、気軽にご相談ください。

雪氷ネットワーク 須田 力
E-mail: sudariki●poppy.ocn.ne.jp
(●を@に変えてお送りください)

 最後にこのような楽しく熱気あふれるイベントに参加させていただきお世話になった道立オホーツク流氷科学センターの皆様、高橋修平様に厚くお礼を申し上げます。

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